「大丈夫大丈夫。私を誰だと思ってんの?」


そう言ってニッと口角を上げて見せれば。


「悪の魔王───ッテェ!」

「誰が魔王だ、誰が」


私は女だっつーの。


さっき撫でていた頭を今度はバチンと思いっきり叩いてやる。



「彩未なら大丈夫」

「……うん、彩未なら大丈夫だよね」


ポンッと私の頭に手を置いた櫂とギュッと強く私の手を握った一華。



「何かあったらすぐに呼べよ。お前の為なら俺たちは迷わず駆け付ける」

「……聖」


真っ直ぐな瞳が私を射抜いて心を震わせる。


その迷いのない綺麗な瞳が好きだった。



「ありがとう」


私はこれからも仲間として一緒にいたい。





「離れてても俺達の“絆”は消えない。それは忘れるな」

「……うん。絶対に忘れない」



掃除屋“Lien”


その意味は───“絆”





「……さて、あとは“携帯”だけだね」


自慢の愛車に跨ってエンジンをつけた私は喧嘩があった広場の方へと振り向き、ニッと笑いかけた。



ここまで全て計画通り。


私は絶対に“あの人”を見つけ出す。