白銀のヴィーナス



「……あー、と携帯忘れてきた。番号教えてぇのは山々だけど、俺、番号覚えてねぇから教えらんねぇんだよな」


左右のポケットにそれぞれの手を突っ込んで携帯を探すフリをする。


本当は後ろの右ポケットにあるけれど、彼等からは見えないから疑われる心配はない。



「マジか」


案の定、私の言葉を信じきった二人。

二人は顔を見合わせて再び何やら考えている様子。


そんな二人に、私はごく自然な振る舞いで“ある提案”をした。



「俺、場所教えてくれたらアンタ等んとこ行くけど?」

「……は?」

「俺等んとこ?」

「そ。あ、別にさっきの公園でも良いけど」

「………」


軽い口調でさっきの公園を指差せば、公園に目を向けた二人は難しい顔をして口を結んだ。


……あと一押しだな。


「駄目ならまた次会った時勧誘してよ」


そう言って、「じゃあ」と手を上げれば。


「待てよ!」


振り返るより先に私を呼び止めたチャラ男。


……かかった。



「なに?」


興味が失せたかのように気だるげに振り返れば、真剣な瞳をしたチャラ男と目が合って。


勝利を確信した。



「BDの溜まり場を教えるから明後日来てくれ」



「……りょーかい」



掃除屋“lien”、春名 彩未。


狙った獲物は絶対に逃がさない。