呆れ混じりに溜め息を吐き出して、再度捻り上げた手に力を込めた。
その時。
「山崎」
背後から聞こえてきたのは、怒気を孕んだ男の声。
「……っ、分かったよ!」
山崎というのはどうやら私が馬乗りしているこの男の事らしい。
悔しそうに舌打ちをした男は大人しく抵抗を止め、降参の意を示すように地面に顔を伏せた。
それを見た私は捻り上げた男の腕をするりと離し、男の背中から下りる。
もしかしたら不意を突いて攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
そう思って警戒したけれど、それは要らぬ心配だったようだ。
男は険しい表情こそ浮かべているものの、私の方を見ようともしないから。
……さて、この後どうしようか。
目の前に並んでいるのは十人の男達。
こうやってると彼等が仲間で、彼等と私と対峙しているように見える。
って、あれ?これってそうなるんだろうか。
なんてふざけた事を思っていた時、耳に入ってきたのはサイレンの音。
彼等の表情に変化がないところをみるとどうやらまだ気付いていないらしい。
そういえば輝一によく言われるっけ。“彩未は地獄耳だ”って。
っていうか。
「呼ぶの早いよ。馬鹿」


