白銀のヴィーナス



「──突然現れた謎の男」

「……」

「敵でも味方でもないその男がとてつもなく強かったら」

「っ、」

「お前等はどう思う?」



聖のその一言に、五人はハッと息を呑んだ。

そして、目を見開いて眼下に広がる光景を見つめる。



「“欲しい”と思わないか?」

「……っ!」



眼下に広がるのは、彩未の舞う姿。



「自分達の立場が危うい今、一番欲しいのは絶対的な力」



彩未の獲物を見据える鋭い視線が相手の自由を奪い、しなやかな肢体が確実に急所を仕留める。



「目の前に即戦力になる人材がいて“欲しい”と思わない訳がない」



──その姿は、まさに“支配者”。





「奴等は彩未の存在を知ってしまった」


一瞬にして地に沈んだ男達に、驚愕のあまり停止してしまったBD達。

否、BDだけじゃなくBDの敵までもが停止していた。



「もう、手遅れだ」



彩未を見据えるBD幹部達の瞳。


それは驚愕というよりも歓喜に満ちていて。



「奴等は捕らわれたんだよ。

──春名 彩未の魅力に」



──運命が、静かに廻り始めた瞬間だった。



 【客観的視点 END】