白銀のヴィーナス





「──アンタがレイ?」


「……そうだけど?」



イケメン傘下達を眺めていると、背後から声をかけてきたのは一人の男。


ソファーに凭れたまま肩越しに振り返れば、



「そうか」



その言葉と共に、突然男の右拳が私目掛けて振り下ろされた。





──パシッ。



それを難なく受け止めると、男の拳を握り締めたまま士騎をギロリと睨み付ける。



「──士騎、俺言ったよね?面倒臭いから喧嘩はナシって」


「……あ、あー、一応言っといたんだけどな」


「………」



嘘つけ。絶対言ってないだろ。


目泳いでるし。


ったく、あれだけ念を押しておいたのに。






……っていうか。




「何回もしつこいんだけど」



握られた右手はそのままにして、空いている左手を再び私目掛けて振り下ろす男。


体勢からいって受け止めるのは少し無理があったから、右手を思いっきり突き上げて叩き落としてやった。



……ったく、しつこすぎるっつーの。


そのしつこさ、蒼介並みだな。



不意打ちを狙ったつもりなんだろうけど、そんだけ殺気出されたら嫌でも気付くし。



「……士騎、あとで覚えとけよ」



士騎に二度目の睨みを利かせれば、士騎はわざとらしく視線を逸らして煙草に火をつけた。