白銀のヴィーナス


【客観的視点】



「オイ!彩未!!」

「輝一、行くな」

「は!?なんで!」



彩未を追い掛けようとした輝一を、聖が淡々とした声で引き止めた。


落ち着き払った聖の表情に、輝一の双眸が驚愕と動揺の色に染まる。



「聖!アイツ一人で行かせる気かよ!?」

「あぁ」

「なんで!?」

「輝一は、アイツが奴等に負けるとでも思っているのか?」

「っ、」



聖のその一言に、輝一は下唇を強く噛み締めた。


それを見た聖は意味有りげに口角を引き上げ、再度彩未の方へと視線を滑らせる。



「さっき、アイツはああ言ってたけど、俺がアイツに勝つことは有り得ない」

「っ、聖、」

「アイツがこの中で一番強いこと、お前等も知っているだろう?」

「……あぁ」



聖の言う通り、リアンの中で一番強いのは聖ではなく彩未だった。


みんな口には出さないが、彩未こそがリアンのトップに相応しいと思っている。


だが、彩未自身はそうは思っていない。


自分に力があるのは認めているが、トップになる器ではないと思っているからだ。


過去に聖達がリーダーになって欲しいと頼んだ事があったが、「私には無理」と一つ返事で断った。


だから、表では聖がリーダーという事になっている。


と言っても、リアンは彩未たち幼馴染みだけで作られたチームだから、リーダーなどあって無いようなものだけれど。