まるで決定事項だとでも言うように笑みを深めた士騎が、視線を絡ませたまま近付いてくる。
互いの唇が重なるまであと数センチ。
士騎覗き吐息が唇を掠めた、その時だった。
「っざけんな!!」
「………っ、」
私と士騎の距離が一気に“ゼロ”になった。
「……ッ、おま、信じらんねぇ」
二人の間に響いたのは、凄まじい頭突きの音。
それはもうゴツンという効果音が相応しい大きな音で。
「信じらんねぇはこっちのセリフだっつーの!ふざけんのもいい加減にしろっ!!」
自分が今女だということも忘れて、額を押さえて悶絶する士騎に思いっきりそう吐き捨ててやった。


