反転する私と士騎の立ち位置。
覆い被さるように立ち上がった士騎は、私の両手首を引き寄せるとそのまま壁へと追い詰めた。
「ッ、」
ドンッと乱暴にぶつかった背中。
「はな──」
「離したら逃げんだろうが」
「……っ」
逃さないと言わんばかりに握り締められた両手首はまるで男女の力の差を見せつけているようで。
あまりの悔しさに唇をキツく噛み締めた。
「………」
「………」
訪れた沈黙に合わせて、フッと両腕の力を抜いた私。
項垂れるように顔を伏せれば、それが私の“罠”だとも知らずに士騎が頭上でフッと鼻を鳴らした。
「で?お前──」
今だ!
「……っ、」
士騎が言葉を発したのとほぼ同時。
私の右膝が士騎の腹部目掛けて繰り出された。
「……チッ」
「──オイオイ、油断ならねぇな」
けれど、それは腹部まであと数センチといったところで士騎の左足に止められてしまった。
……まさかこれも止められるなんてね。
確実に仕留められると思っていただけに、言いようのない悔しさが込み上げてくる。
「……ククッ。やっぱ良いな、お前」


