「何考えてんのよアイツ!」
綺人のことだから何か考えてるんだろうけど、こればかりは無謀だとしか思えない。
だって、輝一の言う通り、BD側は士騎と綺人の二人しかいないのだから。
数十人いる“綺羅”に勝ち目なんて無いに等しいだろう。
「彩未、」
「輝一、アレ持ってる?」
「アレ?」
「そう、アレ」
怪訝に眉を潜める輝一に口を数回開閉する。
すると、あ、と何かを思い出したように目を見開いた輝一が右ポケットに手を突っ込んだ。
「はいよ。コレだろ?」
「………」
輝一が取り出したのは可愛いらしいプーさん柄のマスク。
それを見た瞬間、こめかみにピシッと青筋が走った。
「殴られたいの?」
「……すいません」
男顔負けの低音ボイスに本気でビビっている輝一は、差し出したプーさんマスクをいそいそと装着すると左ポケットから新たなマスクを取り出した。
出てきたのはごくごく一般的な白無地のマスク。
……ったく、ビビるんなら最初からこっち出せっつーの。
ギロリと輝一を睨み付けた後、そのマスクを装着する。
「マスクつけるってことはあそこに出て行くってこと?」


