白銀のヴィーナス




「……彩未?」

「シッ」


“綺羅”の総長がいるBARまであと数十メートルという時、“ある人物”を目撃した。



「こっち」



直ぐ様輝一の手を引いて、すぐ傍にあったビルに身を隠す。


壁に背を預けてそっとその人物を盗み見れば……。



「……綺人」



そこにいたのはBDの総長、綺人だった。





……なんで綺人がこんなところに?



彼の周囲には誰もおらず、雑居ビルの階段下で身を潜めながら電話をしていた。



なんで綺人がこんなところにいるのだろう?朱璃ちゃんは?



此処にいるということは送っていったということなんだろうけど、なんでこんなところにいるのかが分からない。




「もしかして俺達と同じ理由かもしれねぇな」

「え?」



同じ理由?



重々しい声色に顔を上げれば、私と同じように街路を覗いている輝一の姿があり、声色と同様、難しい表情で綺人を見据えていた。



「それって……」

「あぁ。“綺羅”を探りに来たんだろ」

「“綺羅”を……?」



ってことは私と同様、“綺羅”が怪しいと思ってるってこと?