「っていうか、こっちで合ってんの?」
「多分な」
ホラ、と輝一から手渡されたのは手書きの地図。
紙にはミミズが這ったような線と四角い図が何個か描かれていて。
下部にはこれ見よがしに“ルチカ”とサインまで入っていた。
「……アイツ、地図書くの下手くそだね」
何度も消したのか、消しゴムの跡がそこら辺にあってかなり見づらい。
「突っ込むな。これでも苦労して書いてたんだよアイツ」
「……そう」
っていうか手書きじゃなくても良かったんじゃないの?
今はスマホっていう便利なものがあるんだし。
もしかして聖達にも手書きの地図渡してたりする?
……いや、狂夜の溜まり場は前も行ったから地図はいらないか。
聖達は今頃狂夜の溜まり場へと乗り込んでいる頃だろう。
聖達なら大丈夫だと思うけど、やっぱり少し心配だ。
「──彩未、聖達を信じろ」
私の心情を悟ったのか、珍しく真剣な顔でそう言った輝一。
「……うん」
そうだよね。聖達は狂夜ごときに負けたりしないよね。
だって私達は十数ものチームを破滅させた“掃除屋”、Lienなのだから。