「あれくらいの量、男なら昼と夜で食べれるでしょ」
「そんなわけあるか。
我が輩は生来の少食なのだぞ」
「少食だったのに、あんな肖像画みたいに丸っこくなったの?」
「あれは大袈裟に描きすぎなのだ。
実際は普通の中年太りと変わらん」
そ、そうなの……。
本人の口から語られた新事実に驚きはしたけど、ナポレオンの肥満説と素麺の話しは別問題だ。
「じゃあ、1人で昼晩わけて食べればいいじゃない」
「我が輩に昼と夜に同じものを食べろというのか」
「嫌なの?」
「うむ、嫌だ。
だから緋奈子も手伝え」
ナポレオンはついに命令口調であたしに言う。
“俺様”って、こういう人のことを言うんだと思う。
こんな感じの性格の男が、ケータイ小説ではモテちゃうんだから不思議なもんだ。
「だが断る」
あたしは一刀両断する。

