僕は余りにも  君を愛しすぎた

「そうよ。プラットホームやホスピタルやベビールームや沢山の場所で人間の心を癒してあげられると思うの。壁を飾るのはなにも風景や肖像だけじゃないのよ。これからはCGアートの時代だと思うわ。」

「私もそう思うけど。」

「けど?自信が無いの、リリィ?」

「よく考えたいの。」

「わかったわ。今日私が話したことをよく覚えておいてね。私達はきっと成功するわ。他の誰にも真似できないアートを作れるのよ。」

私は彼女のアイデアに呆然とした。

ここにいるとサラの提案に現実味があった。

でも日本へ帰ったら果たして同じ気持ちでいられるかしらと不安もあった。

お互いのメアドを交換して私はフェスティバルへ戻った。

2日目はペースを少し落として見て回った。

ギル・サンダーのブースは昨日よりも混み合っていた。

ランチタイムに桜井先生と観月さんの二人と待ち合わせたカフェで軽く食べた。

「莉里、午前中見かけなかったが、まぁこの人混みじゃ無理だが。」

「先生、帰ったらご相談したいことがあるんですが、お時間をとっていただけますか?」

「僕なら構わないよ。」

「莉里ちゃん、桜井じゃなく俺に相談してくれてもいいんだけどな。」

「観月!」先生は彼を制した。

「今夜はこっちで最後だから俺が二人にご馳走するよ。午後は社に戻らなくちゃならないから俺はこのあとは失礼するよ。じゃ、ディナーで。」観月さんは会場をあとにした。