「ばーか。俺は泣かねぇの」
「嘘。鼻すすってんじゃん」
「これは……また風邪ひいただけだっつーの」
「嘘ばっかり」
まだ強がってる葉上だけど、肩にポタポタと雫が落ちた。やっぱり、泣いてるじゃん。素直になってもいいんだよ?
「俺なんかに優しくすんなよ」
「『俺なんか』じゃないでしょ?
葉上は、私の憧れだよ」
「お前こそ嘘ついてんじゃねぇか」
「嘘じゃない。ホント。私、葉上みたいに正直じゃないから」
私は、言うのが怖いんだ。葉上に嫌われたくない。そう思ってしまうんだ。
あのね、葉上。
私、あなたのこと嫌いじゃないよ。
あなたの周りには「大好き」って思ってくれる人がいるんだから、「俺なんか」って言っちゃダメ。



