君とさよならの時間 ~大好きの涙~





 家族。なんてあったかい言葉。でも、葉上の話し方はどこか悲しげで冷たい。言葉とは正反対。





「最初は、うまくいってたんだ。




 ――おふくろが、事故で死ぬまでは。








 おふくろがいなくなってから、家族は壊れ始めていった。義父さんは毎日違う女を家に連れ込んで遊んだり、俺は俺でこんな不良みたいな格好したり。

 義姉さんが家事全般やってくれてて、ストレスかな?ある日、俺にあててきたんだ。物ぶつけてきたり、暴れたり。

 結構ヤバイ状態でさ…。まぁ、義父さんが止めに入ってきてくれたけど。






 高校に入る直前、義父さんに言われたんだ。『俺は娘を連れて、この家から出てく。お前は俺がとってやったマンションに住みなさい。大丈夫だ。お金はこっちが払うから』って。



 いきなりだったし、最初は何言ってんのかさっぱりでさ。ようやく理解できたときには遅くて、もう家には俺一人だったんだ。





 そんで、俺は一人暮らしをしなきゃいけなくなったわけ」