君とさよならの時間 ~大好きの涙~





 ふと時計を見ると、もう12時。意外と時間が経っていたのに気づき、私は熱いお粥が入った小さな鍋を持ち上げた。





 ―――そんな時。




 フラッ…と視界が小さく揺れた。一回鍋を置き、こめかみをおさえる。どうしたんだろう。疲れたから?動きすぎたから?


 はぁはぁ…と肩で呼吸をしながら、目を閉じ、ゆっくりと開く。





 ……もう、大丈夫。




 そう思って、私はもう一度鍋を持ち上げた。恐る恐る一歩踏み出して、目眩がないか立ち止まる。



「……大丈夫、大丈夫」



 ブツブツとなにか呪文を唱えるように、その言葉を繰り返し呟きながら歩いた。





 私はまだ“生きれる”。まだ、この世界に居たい。




 でも、わかる。自分の体だもん。自分が一番よくわかってる。――力が確実に弱くなってる。少し動いただけですぐ息が上がるのは、きっと体力が落ちているからだろう。