マンションの8階だったっけ…?



 マンションに着き、エレベーターで8階へ。結構豪華なココに、あいつは住んでるのか…。いいな、なんて思わないけど。だって、住めたとしても独りだし。どうせ――――――……




 ピンッ♪




 8階に着き、ヤツが住む801号室へ足を運ぶ。


 看護師さんからもらったメモをギュッと握り、初めてドアホンを押した。ピンポーン♪という音が鳴り、中からドタドタ…と足音が聞こえた。






「………やっぱお前か」





 ガチャッ、と開いたドアから顔だけ出したのは、鼻のてっぺんが赤い彼・葉上だった。



 まじで風邪ひいたんだ。ていうか「やっぱお前か」ってどういう意味?ポジティブに考えると、待っててくれた、ってことになるけど。ネガティブに考えると、本当にきやがった…、っていう呆れた表現に聞こえる。




「昨日言ったでしょ?お見舞いに来てあげるって」


「なんでそんな上から目線なんだよ」


「ほら、病人は黙る!」



 看護師さんに小さい頃よく言われたセリフを使ってみる。なんか清々しい気分だ。命令するのって気持ちいいのね。