胸の奥が、キュン…と高鳴る。
「ほ、保健室行こ?代えの制服あるかも」
「……別にこのままでもいいけど」
「ダメっ!風邪ひいちゃう」
「仕方ねぇな~」
偽の彼女の為だけなのに、こんなすぶ濡れになってまで助けてくれて。
あなたの考えてることが、まるでわからない。
……だけど、この人なら、この人の傍にならいてやってもいい、って思った。
「そういえば、さ」
「ん?」
保健室へ向かう途中の廊下、私は気になっていたことを聞いた。
「どうして偽の彼女なんて、作ろうと思ったの?」
「女避け」
即答した葉上に、思わず黙ってしまった私。



