君とさよならの時間 ~大好きの涙~





 そして、キュッと蛇口をひねる音が聞こえた。



 水かけられる…!!



 そう思って、反射的に目をつぶった。






「愛美!!!」






 そんな時、ふいに聞こえたのは偽の彼氏の声。はっきりと聞こえたその声を聞いて、震えが止まっていく。


 どうして…?



 でも、私は目を開けなかった。現実を見るのが辛くて。水をかけられるのが怖くて。






 ――いつになっても水の冷たさが感じられなかった。





「……?」


 不思議に思い、恐る恐る目を開けていく。