手を見ると、どんどん消えていってる。




 ……私、消えちゃうんだ。




 

 新たな“自分”になるために、“私”はこの世からいなくなるんだ。



 ――でも、“私”が生きた証はあるから。



 みんなの記憶に、残ってるから。


 “私”の中に思い出があるから。








 だから、私は平気だよ。


 消えても、大丈夫。







「葉上……ううん、尋………さよなら」






 最後の“大好きの涙”がこぼれ落ちるとともに、私は光に包まれながら姿を消した。