「藤井先生、ありがとうございました」 俺は深々と頭を下げたながら言った。 「僕はなにもできなかったよ」 「いえ、そんなこと」 「愛美ちゃんと出会ってくれて、ありがとう」 「俺のほうこそ『ありがとう』ですよ。 俺のほうが、愛美と出会って変われましたから」 「そうか」 「はい。 ……じゃあ、俺、帰ります」 「帰るのかい?」