不器用で淡いこの恋心に、私は嘘をつけないから。 「そろそろ帰るか」 「そうね」 空がオレンジ色に変わり、海も空と同じ色になった。 もう夕方か。時間が経つのは早いな。 バスや電車に乗り、私たちは帰ってきた。 「病院まで送ってくれてありがと」 「別に。家までの道に、病院があるだけだから」 可愛くないんだから。もっと素直になればいいのに。 「―――もう、さよならの時間よ」