午後7時になり、私は家を出た。



 夕飯に誘われたけど、私は断った。



 だって、病院でちゃんと私の夕御飯を用意してると思うから。






 帰るとき、


「また来てね。愛美」


 って言ってくれた。



「うん!」


 私はそう頷いて、玄関の扉を閉めた。






 次行く時は、いつだろうな。


 きっともう二度と、いけないだろうな。


 あの落ち着く家には。




 最初で最後の自分の家。





「……ありがとう」




 ボソリと呟いた帰り道。私の目からはまた涙が流れていた。