教室に着くと、そこにはもう誰もいなかった。
……早いな。いなくなるの。
部活か、放課後デートか、遊んでから帰るか。
そんな、三つも選択肢がある“普通の子”が、クラスメイトなんだ。
いいな。憧れるな。
…そんなこと思ったって、仕方ない。
教室は、窓から差し込むオレンジと水色のグラデーションで彩られていた。
カタン…と窓際の一番後ろにある自分の席に着き、頬杖をつきながら外を眺める。
そこから見えるグラウンドでは、サッカー部と陸上部が練習していた。
――いつ、私の病気は治るのかな?
そんな疑問、とっくに捨てた。
だって、“奇跡”まで起こしてるのに、今更病気が治るとか考えないでしょ?