「あたし9時に約束したよね?忘れたの?」 「忘れてない」 「じゃなんで?」 「お腹、空いた」 そう言って二カッと笑う。 腹立たしいくらい白い歯を見せて。 まだ忘れていた、ごめんなさいなら仕方ないと思えるけれど、忘れてはいないと言い張る。そこが厄介だ。 そんなことが二度三度と続き、あたしはもう諦めた。 時間の概念がないんだ。 でも。 憎めないから余計に腹が立つ。