本質的な設定に疑問を抱きながら見るテレビ番組は、“娯楽”ではなく“研究”にも似ていた。 無論幼い彼にはそんな概念はない。 意味なく繰り広げられる戦闘を見て、どちらを応援したものか、どちらが敵でどちらが味方かすらわからない。 ただ一つ、必ず“悪”とされる側はやられるのである。 理屈等なく敗れさり、正義が勝つと云う事は頭に焼き付いていた。 彼は将来、この“正義”と云う言葉の呪縛の為に生きる。