黒男は、『正義』と『悪』の図式を単純なテレビのヒーロー番組には見出せなかった。 いや、彼の異質な興味はテレビのヒーローの敵に課せられた“絶対悪”と、ヒーローがヒーローたる由縁の単純さが理解出来なかったのだ。 常に頭の中では朧気な疑問があった。 ─何故敵は悪なのだろうか。 ─何故ヒーローは正義なのだろうか。 と。