一方、女の名は詩織といった。 詩織は吉行の腕の中で幸せな顔で眠っていた。 吉行に愛情を捧げるあまり、全てを捧げる女。 吉行は眠る詩織の胸を軽く揉みながら思った。 (俺はこの女を愛しているんだろうか……) 自ら作り出す虚像の中で生きる吉行にとって、もはや自分の感情すら真実かどうか見失っていた。 女に不自由した事のない彼も、惹かれる女性に巡り会う事もある。 しかし、ふとその感情に自ら疑問符を投げかけてしまうのである。 (愛情とは一体何なんだ?)