家の中にいても、何も起こらなかった。

気味が悪いくらいに静かで。


今日はポストに何も入らなかった。

電話もかかってこない。

インターフォンも鳴らない。


相手もきっと、何か考えているんだろう。

私を殺す方法?

本当にそうだったら、怖すぎるけれど。



作戦なんてない。

だけど、彼女をおびき出すには、私が出て行くのが一番だろう。

そして、何としてでも面と向かって話をしたい。

どうして私を陥れようとするのか、聞かないといけない。



念のため、先生にメールした。



陽さん


買い物に行ってきます。

陽さんのこと、大好きです。






それだけだけど。

もし、私に何かあったら。

二度と先生に伝えられない気がしていたから。



Re.陽さん


買い物よろしく。

今夜は覚悟して。



すぐにそんな返信が来る。

何してるの、陽さん。

ちゃんと仕事してよ、陽さん。

今夜じゃなくて、私はもう覚悟を決めたよ。

先生を愛する覚悟、決めたよ―――



買い物袋を持って、一週間ぶりに外の空気を吸った。

怖いけれど、なんだか清々しい。

ずっと、怯えて家の中にいた自分がばかみたいだった。


胸を張っていたらいいんだ。

私は、陽さんに愛されている。


そして、私はスーパーを目指して歩き出した。