『ん…?今何か、夫婦漫才の様な掛け合いが聴こえた様な……気のせいか……
大樹はね、俺に無い沢山の素敵な物を持っているよ。
俺の入れない紫の心の一部も、君がずっと独占してきた。
だから紫を託せるのは大樹…君だけ……
紫と紫龍を頼むね』
「おう…任せろ」
『紫龍は君に懐いているだろう?』
「うるせぇくらいにな」
『君が父親になってくれたら喜ぶよ。
一人っ子の紫龍に、妹弟も作ってあげて…
あっ…子作りする時は、星の見えない曇り空の日にしてね。
愛し合う君達の姿が見えたら、嫉妬の余り天から落ちちゃうからさ、ハハッ!』
「何言ってやがる…アホじゃ…」
「アホじゃねぇの?」と言いかけ、紫の肘打ちがまた飛んでくる気がして身構えた。
しかし紫は別の事に気を取られているみたいで、またぶつぶつと独り言中だ。
「紫龍に妹弟を…
大樹の子…大樹2世…」
「何だよ…俺の子は産めねぇってか?」
「紫龍に妹弟がいたらいいなと思うけど…
大樹に似ていたら、どうしようと思って…」
「てめぇ…俺の子なら、バカに決まってると言いてぇみたいだな…
いいじゃねぇか。
バカな子程可愛いって世間じゃ言うだろ。
それに俺ん家には畑をやる奴が必要なんだ。
それともあれか?
紫龍に跡継がせてもいいのか?」
「紫龍には、ファーム月岡をやってもらうからダメ」
「だろ?ならもう一人…
いや、そいつが農業嫌がったら困るから、後3〜4人産んどけ」
「あんたねぇ…
私の年齢知ってる?」
「28。来月で29。
全然問題無ぇ。年子で4人はいける」
「………」


