3年前の時間がゆっくりと流れ出す。
画面の中で静止していた流星が、再び生を与えられたみてぇに動き始めた。
夕日はまだそこにあったが、さっきより明るさが落ちていた。
赤みを帯びた濃いオレンジ色の光りが、あいつの髪の一端を夕焼け色に染め上げる。
外からの観光客の話し声も少なくなったみてぇだ。
話し声に代わり微かに聴こえて来たのは、3年前の俺が運転する、トラクターのエンジン音。
夕暮れだから、倉庫に戻ろうとしてる所じゃねぇかな。
ファーム月岡もそろそろ営業時間を終える。
店仕舞いをして片付けを終えたら、紫が帰って来る。
流星のビデオレターも後少し、紫が帰って来る前に終わるんだろうな。
流星は紫が今抱きしめているこの本を机に置いて横にずらし、足を組み替えてから、次の話題を持ち出した。
本の在りかを暴露した時の可笑しくてたまらないと言った表情は消え去り、やけに真面目くさった視線を俺達に向ける。
たっぷりと間を開け、「ふぅ」と息を吐き出すと、
「さて…」と言って続きを話し出した。
『さて…ここからは未来の話しをしよう。
このDVDを1年でも2年でもなく、3年後まで保管して貰った理由はここにある。
今まで必死に堪えてくれた紫、彼女を支えるのに全力を注いでくれた大樹。
これから話す事は、必死に頑張っている最中のこれまでの君達には受け入れ難い提案だったと思うが…
3年目の節目として、どうか今から考えてみて欲しい。
少し肩の力を抜いて、君達の歩む方向性を考え直して欲しい。
簡単に言えば、過去の住人俺から、未来を生きる君達へのお願いと言った所かな。
素直に了解してくれると思えないが…考えるだけ考えてみてよ』
やけに回りくどい言い方をする流星に、紫は素直に頷いていた。
お願いとやらを聞く気は満々だ。
『素直に了解してくれるとは思えないが…』
流星は何故か断られる予想してっけど、あいつの頼みを紫が聞かねぇ訳ねぇだろ。
そう思って聞いていたが、あいつの頼みとは…
紫が「うん」と言えねぇ無茶な内容だった。


