不思議そうに紫が呟いた通り、この本の後ろ50枚程は、何も書かれていない空白のページが続いていた。
「何でだろう…」
紫の手の中で真っ白なページはパラパラ進み、やがて一文字も現れないまま、裏表紙に行き着いてしまう。
白紙の理由を探して、紫は文字が書かれている最後のページまで戻った。
そこに書かれている文章1ページ分を読み
「そっか…」と呟き、頷いていた。
「何に納得してんだ?」
「うん…白紙のページの理由が、ちゃんと書いてあったの…」
紫は白紙の理由が書かれている部分を、読み上げた。
『俺と紫の物語はこれでお終いになるけど、
君と紫龍と大樹…富良野の大地に生きる君達の物語は、これからも続いて行く。
だから次からの章は君が描くんだ。
この先の幸福な未来を、愛する人達と共に……』
その文章にあいつらしさを感じながら、握り飯の最後の一口を口に放り込んだ。
「幸せな未来を、お前が自分で描けってか。
『愛する人達と共に…』
またキザったらしい台詞言いやがって…
お前とチビと俺の未来は…ん?
何で俺の名前まで入ってんだ?」
「さあ…?
うちに入り浸っているからじゃないの?」
「入り浸るって…聞こえが悪りぃな。
側にいてくれてありがとうとか、言えねぇのかよ」
「言えない」
「だろうな。
分かってて聞いた」
さっきは珍しく俺に優しい態度を取ってたこいつだが、やっぱそうだよな。
さっきの優しさは、この本にテンションが上がった結果の出来心だな。
まぁいいさ、俺らの関係はそんなもんだって生まれた時から分かってるし、それが居心地良くもある。
「ふぁ〜あ〜あ〜眠ぃな…もう2時過ぎてんのか…
さっさとDVDの続き見ちまうぞ。夜が明けちまう」
「うん」
本を閉じ、胸に抱きしめながら前を向く紫。
俺はもう一度大欠伸(アクビ)をしながら、再生ボタンを押した。


