流星の正面にある西の小窓から、夕陽が入ってきた。
細く切り出されたオレンジ色の光りが、あいつの茶色の髪も瞳も、黄金色に輝かせている。
眩しそうに目を細める流星、その顔が笑っている様にも見える。
夕陽を浴びる髪が微かに風に揺れ、顔に映る前髪の淡い影も一緒に揺れていた。
流星、お前はちゃんと分かっていたんだな…
お前を救い幸福な時間を与えたあの約束が、紫自身を縛り付け、次第に苦しくなって行くことが分かっていたんだな…
この3年間、紫は堪えんのに必死だった。
弱音を吐かず強がって笑って…
そんな生き方してっから、心は疲れてきっとボロボロだ。
そんな傷だらけの心に、流星の言葉は優しく染み込み、隅々まで広がって行った。
『この辺りで肩の力を抜こう……我慢しなくていい……』
今まで俺も似たような言葉を何度も言ってきたが、やっぱ俺じゃダメなんだな…
お前が言わねぇと効かねぇんだな……
「おい…泣いてもいいってよ…
泣いてもその後笑うなら、約束破りにならねぇって。
紫、全部吐き出せ。
淋しいよな…あいつが今ここに居なくて……」
「…淋しい……」
紫は画面を見つめたままポツリと言った。
強く生きようと突っ走ってきたこの3年、決して口にしなかった弱音を、紫は今やっと言葉に出せた。
そして3年振りの涙が、ぽろぽろとこぼれ落ちた。
涙は見る見る内に量を増やしていく。
画面の中の流星と視線を合わせながら、しゃくり上げ嗚咽(オエツ)を漏らし…
紫は溜め込んでいた涙を一気に溢れさせていた。
俺は紫の頭に右手を置き、深い安堵の溜息を吐き出した。


