画面を食い入る様に見つめる、紫の顔を横目で見た。
肩の力が抜けるどころか、ガチガチになってんじゃねぇか…
紫の手をすっぽり包む様に握ってやっても、まだ震えは収まらねぇし、
懐かしさや嬉しさや淋しさや悲しみや…
色んな感情がごちゃまぜになって、溢れ出しそうな目をしてんのに、相変わらず涙腺だけは固く閉ざしやがる。
それを見て吐き出した俺の溜息は、隣の紫に届かねぇ。
紫には届いてねぇが…画面の中の流星がそれに気付いたみてぇに目を細め、哀しく笑った。
『紫…今君は泣くのを我慢しているね。
3年振りの生ある俺の姿に、今までの想いがどっと押し寄せ…苦しくなる程に胸に迫り来る…
それでも君は口元を引き結び、手を震わせるだけで泣いてはいない。
それは俺に約束してくれたから…
“私は傷付いても枯れたりしない。
涙を流してもその後には、ちゃんと笑って花を咲かせるから…”
あの約束は嬉しかった…
今もあの時の君の声のまま、耳に心に焼き付いている。
強く優しい君の言葉があったから、俺はこの地で、君の隣で笑っていられたんだ…
ありがとう紫……』
その言葉に、紫がスッと背筋を伸ばした。
「もう大丈夫」と言うかの様に手の震えを完全に押さえ込み、握っていた俺の手をそっと外した。
流星に真っすぐな視線を向ける紫の瞳には強さだけが際立ち、
淋しさや苦しさや切なさを、奥の方に押し込めてしまった。
俺はまた溜息を漏らした。
おい流星…お前がそんな事言ったら、こいつは肩の力なんて抜けねぇだろ。
紫の約束のお陰で、お前が幸せだったのは確かだが、それを今ここで言ったら、紫はこれからも頑張り続けるぞ?
紫と暮らした5年間でこいつの事がちったぁ分かったのかと思ってたけどよ…
それは俺の買い被りだったか?
強く前を向く紫を心配してんのは俺だけか…
お前は
「そんなに強がるな」
って言ってくれねぇのか……
失望感に途中でDVDを止めてやろうかと思ったけどよ…違った。
流星がビデオレターを残してまで言いたかった事はそれじゃなかった。


