チビの茶色の髪に触れながら、紫がしみじみ言う。
「紫龍は…流星にそっくりだよね…」
「まぁな。
けど、お前に似てる所もあんぞ?」
「あるの?どこ?」
「つむじの向きと、爪と耳の形」
「私の要素それだけ?」
「そんだけ。
何笑ってんだよ…」
「ふふっ ほぼ流星100%なのが嬉しいなと思って……でも中身がね…」
「中身が…」と言い、紫は俺を見て溜息をもらす。
こいつの見た目はミニチュア流星だが、中身は俺に似て困るって、いつも紫に言われてる。
それは仕方ねぇ。
こいつは何か知んねーけど、俺に異様に懐いていやがる。
俺の後をどこでも付いて歩き、やることも喋り方も真似するから、似てくんのは当たり前だ。
そんな不満そうな顔すんじゃねぇよ。
くっついてくんのは、俺のせいじゃねぇだろ。
紫龍は舌っ足らずな口で、よく喋る奴だ。
チビのくせに「オレ」って言うし、
「めんどくせぇー」「ばかじゃねーの?」って…
やべぇ、口悪過ぎんなこいつ。
この前俺が
「おい紫龍、サッカーやるか?」
と聞いたら、
ヨーグルトまみれの口で、
「めんどくせぇー」
と言いながら、
急いでボールを出し、蹴りまくってはしゃいでた。
「大樹、オレすげぇよ!
あんねーあんねー、キックすげぇ!
キック10倍くらいすげぇ!」
意味の分かんねぇ自慢をする所は、アホで笑えるよな。
俺が食ってる物も、何でも食いたがる。
激辛ポテトチップスを欲しがって、泣いた時もあったな。
「これはダメだ。
すげぇ辛い奴だから、チビにはまだ早ぇ」
そう言ってくれてやんなかったら、大泣きして…
「バカじゃねーの?
大樹のバカ!バカ!うわ〜ん!」
鼻水を擦り付けながら、俺をボカスカ叩きやがる。
煩ぇし面倒臭ぇから、泣いてる口に激辛ポテチを一枚突っ込んでやったら、一瞬泣き止んだけど、
今度は違う意味でまた泣き出し…俺は紫に殴られたんだ。


