その後は、農家のおじさんおばさんのコメントが何個か続き、
最後に、紫ちゃんのパパさんの、不機嫌そうな顔がドアップで現れた。
『いいか流星、勘違いすんなよ?
俺は、娘をお前にくれてやった訳じゃねぇ。
お前を月岡家にもらったんだ。
月岡の男になったんだから、土にまみれてしっかり働けよ。
それと…紫を散々泣かせた分、これからは沢山笑わせてやれ……
しっかり生きろよ…流星…
今度お前にな、ラベンダー畑の……あ、いらっしゃい!
いやいや、邪魔なんかじゃないですよ。
お客さん切り花体験どうですか?
うちのラベンダーは、特別いい香りが…――』
厳しい顔してコメントしていた最中に、観光客に話しかけられ、瞬時に営業スマイルに切り替えるパパさん。
そんな所はまさに、紫ちゃんの父親って感じだよね…
そうそう、去年ロシアから戻って来た大ちゃんは、パパさんに怒りの鉄拳くらったらしいよ?
歯が一本欠けたんだって。
でも一発くらった後は、結婚を許してくれたみたいだから、良かったよね。
あーなんか幸せだよねー。
僕にもその幸せ、分けて欲しいよー。
僕も可愛いお嫁さんが欲しい…
言っとくけど、僕、彼女いない歴22年じゃないからね?
今は彼女はいないけど、これまで店のお客さんだった女の子と二人付き合ったよ。
でもさー、最初は
「瑞希は女の子の格好が似合うから、そのままでいいよ?」
とか言ってた彼女達がさー、
付き合い出して少ししたら、メンズショップに連れて行こうとするんだよねー。
プレゼントとか言って、男物の服を買ってきたりして、
「結局、女装が嫌なんじゃん!」
て喧嘩になるんだよ。
あーどこかに、僕の全てを受け入れてくれる子いないかなー。
もうこの際、そんなに可愛い子じゃなくてもいいよ。
僕の技術で、僕好みに仕上げればいいんだしー。


