ラベンダーと星空の約束+α

 


向けられたビデオカメラに

「おめでとうー!
もう僕に面倒かけない様にねー」

と適当なコメントを入れてから、撮り溜めた招待客のコメントを見せて貰った。




最初に登場したのは、紫ちゃんの富良野の旧友達。

これは、僕の知らない人だから、飛ばして次…




次に画面に現れたのは、大ちゃんの父親と美沙子さん。



ダンディーな大ちゃんのお父さんが、静かな口調で語り始めた。




『流星、結婚おめでとう。

お前がそんな笑い顔するなんて、父さんは今日まで知らなかった。

ここには、お前の望む全てがあるんだな…
それが分かって、今心からホッとしている。


離れた土地で暮らしていても、お前がそんな風に幸せな笑顔で過ごせるなら、父さん達は何も心配はしない。

きっと死んだ母さんも……―――――』





あ…僕こう言う親心的なのダメなんだ。

全部見たら、絶対泣いちゃう。

申し訳ないけど、メイクが崩れるのは嫌だから、今は見れないよ。

飛ばすね。




ビデオを進めると、次に現れたのは慶子さん…

えっ!?

慶子さん来てるの!?




みんな忘れちゃったかも知れないけど、慶子さんは、僕らの高校時代の食堂のおばちゃんだよ。



大ちゃんが異様に懐いて

「唐揚げ一個サービスして〜」

とか、よく甘えていたよね。




慶子さんどこに…

あっいた!

農家のおばちゃんに完全に紛れて、分かんなかった……え…ええっ!?



一瞬驚き、その後すぐに納得した。



その理由は、慶子さんと並んで話しをしている農家のおばちゃんが、慶子さんにそっくりだったから。



一瞬、慶子さんが細胞分裂したのかと目を見開いたけど、

そう言えば以前

「大樹のおばさんと慶子さんは、良く似ている」

紫ちゃんからそんな風に聞いたことがあったのを、思い出した。




あれは大樹の母親か。

僕は初めましてだね。

慶子さんにも大樹のおばちゃんにも、後で挨拶してこよっと。





納得した所で、再びビデオを進めた。

紫ちゃんの高校時代の級友の女の子二人が登場した。



名前は真由&千絵梨だった気がするけど…忘れた。



僕にとってこの二人はどうでもいいから、飛ばそう。





次は…大樹。

店舗の中で品出し中の大樹は、カメラを向けられ、不愉快そうに舌打ちしている。




『お祝いコメント…?

チッ面倒臭せーな…

良かったんじゃねーの?以上』