その後は先生に連絡し、迎えに来てもらった。
ずぶ濡れの俺達二人は、集合場所には行かず、
先生とタクシーで今日の宿、湯の川温泉旅館に向かった。
旅館に着くと早速温泉へ。
修学旅行生は入浴時間も細かく決められているが、事情が事情なので、先に入浴することを許された。
午後4時過ぎの今、広い大浴場には数人の客しかいなかった。
露天岩風呂からは海が見え、その景色を独り占めしているみたいで気分がいい。
掘の中での水泳は二度と御免だが、修学旅行中の一人のんびり露天風呂は、得した気になる。
風呂上がりにコーラを飲みながら、一人、部屋の中でくつろいでいると、ドアがノックされた。
先生かと思ったが、開けたドア前には、俯いた横山さんが立っていた。
彼女は弱々しい声で俺に言う。
「紫龍君…あの…今日はごめんなさい…
助けてくれて、ありがとう…」
「うん、いいよもう。
無事だったし、気にしないで」
「でも…えっと…あのね…」
もじもじしながら、彼女は上目遣いに俺を見る。
彼女も風呂上がりで、いつもポニーテールの髪を下ろしていた。
まだ乾き切らず、濡れて光沢があり、いい香りがする。
頬は上気して赤みを帯び、心なしか黒目が潤んで見えた。


