一般的には、両手に花と呼ばれるこの状況…
右腕に、ポニーテールの横山さん
左腕に、ショートボブの佐藤さんがくっついて、
三人並んで目的地に向かう。
函館山の中腹に建つ、旧函館区公会堂まで、緩やかな坂道を上って行った。
石畳の坂を暫く歩くと、元町公園奥の高台に、その建物が見えてきた。
水色の外壁、黄色い縁取りの窓やバルコニー。
随分大胆な配色の、ルネッサンス式洋館だ。
中に入る。
レトロドレスで明治時代コスプレしたいと言う女子は、
早速衣装館でドレスを選んでいる。
その間、俺は館内を見て回った。
嫌々来たわけだが、興味を引くものもあり、面白いと感じた。
アールヌーボー調の英国らしい壁紙や、レトロな調度品、豪華なシャンデリア…
一つ一つを丁寧に見ながら、自宅書斎の本棚にぎっしり詰め込まれた、写真の父さんのBookコレクションを思い出していた。
中世ヨーロッパの雰囲気漂う内装に、本の文章を重ね合わせ、一人静かに楽しむ。
食い倒れることはできなかったが、こう言うのも悪くないな…
そう思っていた。


