「綺麗な髪をしているね…俺…髪の長い子好きだよ…」
本当は女子の髪の長さに特別な感情はない。
ショートでもロングでも、似合っていればそれでいいと思う。
前を歩く陸上部女子の足が鈍ってきた。
後ろの俺が気になって仕方ないと言う感じだ。
心の中だけで笑いながら、更に囁いた。
「ねぇ、必死に勝ち残ったと言うことはさ…
俺のヌード写真がそんなに欲しいの?
意外とエッチだね…爽やかスポーツウーマンだと思っていたのにな…」
「ち、違うっ!私はヌード写真なんて、別に…」
「欲しくないの?ふーん…そっか…それは残念。
君になら…写真じゃなく実物を見せてもいいと…」
そこまで言った時、音楽が止まった。
陸上部女子は真っ赤な顔で立ち尽くし、動けずにいた。
留美は素早く椅子を一つ確保している。
大地を抱っこしている俺も、空いている椅子に楽に座った。
「兄ちゃんヤッター!俺達つおいね!」
「おー、強いな、無敵だな。
大地もちゃんとしがみついてて偉いぞ。二人の勝利」
膝の上の大地と拳をぶつけ合い笑っていた。
すると、怖い顔した留美が近くに寄って聞く。
「紫龍君、あの子に何言ったの?またズルしたんでしょ?」
「ズルじゃなくて作戦。
俺の策にあの子が嵌まって負けただけ」
「言っとくけど、私にはズルっ子効かないからね!
紫龍君とラブラブツーショット撮りたいし、ヌード写真欲しいもん!」
「お前…デケェ声で男のヌード写真が欲しいなんて、良く言えんな…
周り見てみろよ、女子全員引いてるぞ」
「あ……」


