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[紫龍 14歳 冬]



今日はクリスマス。

クリスマスはイエスキリストの降誕を祝う聖なる日。


ご馳走を食べ、家族で語らい、暖炉に炎のくゆる暖かな室内から粉雪を眺める…



そんなクリスマスのイメージが、今年は崩壊していた。



家のリビングには人、人、人…

広いはずのうちのリビングが狭く感じる程の来客数。


しかも来客の全員が、俺の中学の女子だ。



どうしてこんな事に…



きっかけは数日前の留美だった。


現中学一年のあいつは、二年の俺の教室に飛び込んで来てこう言った。



「紫龍君、聞いて!

あのね、おばさんがね、今年のクリスマスパーティーに留美も参加してって電話くれたの!

紫龍君と一緒にクリスマス!楽しみー!」




母さん…留美を誘ったのか…


何故か母さんは留美を気に入っている。


少し面倒臭いが、留美が居て母さんが楽しいならそれでもいい。

妹達も遊び相手が出来て嬉しいだろう。



留美の参加についてはその程度の感想だった。


来ても来なくても、はっきり言ってどうでもいい。



だが……

一々報告にクラスに来ないでくれ!声がデカイ!皆に聞こえる!



慌てて留美の口を押さえ込むが遅かった。


クラスの女子がギラリとした目線を留美に送る。



そして……