ラベンダーと星空の約束+α

 

 ◇◇◇


[夢で逢えたら…Side 紫]



気が付くと私はラベンダー畑の真ん中に佇んでいた。



静かな静かな夜。

今宵は何故か虫達も息を潜め、耳に聴こえるのは風にそよぐラベンダーの花穂が擦れ合う音だけ……



青く光るラベンダーの海はサワサワ…ザワザワ…とゆったりと波打ち、

紫色の波間に私は一人、天を仰いでいた……



南西の方角に見えるのは蠍の心臓アンタレス。


赤く瞬くその姿は…
脈打つ流星の心臓みたい……



アンタレスに向け、今日も話し掛ける。



流星…今日も一日、楽しく過ごしたよ…


子供達は元気に育ち、お店も順調。


大樹はいつも私の近くに居て、変わらない愛で包んでくれる。



幸せな日々。

大切な家族と笑い合える日々。



でもね、やっぱりあなたに逢えない淋しさは消えない。



その淋しさはこのラベンダーの海のように、波打ち、うねり…

時々大波にさらわれ、泣いてしまう時がある……



あ…大丈夫だよ。

心配しないで。

今は泣くのは悪い事じゃないって思ってる。


時には泣く事も必要なんだって…分かっているから。




流星は泣いてもいいとビデオレターに言葉を残してくれた。


泣いてもいい…

でも、泣く時は大樹の隣で泣いてって……



その言葉通り、無性に淋しくなった時は、大樹の腕の中で泣かせて貰っている。



大樹の大きな腕の中で、泣いて泣いて……

そうしたらね、気持ちがスッと楽になって、その後は自然な笑顔で笑っていられるの。



流星は私と大樹を結んでくれた。

泣いてもいいと言葉を残してくれた。


その優しい想いは…
今も私を助けてくれる……




「ありがとう…流星…」




そう呟いた時、アンタレスが一際強く瞬いた。

眩しくて思わず目をつむる。



それと同時に耳に懐かしい声が届いた…




「お礼を言いたいのは俺の方だよ。

紫…幸せでいてくれてありがとう。

君が今も幸せなのは俺の力じゃない、君の力だよ」




ハッとして目を開ける。

すると…目の前には流星が立っていた。



柔らかい茶色の髪を風に揺らし、色素の薄い綺麗な瞳はラベンダー畑を背景に、私の姿を映し出す。



右頬の笑窪を凹ませ、私の好きな優しい微笑みを見せてくれる。




「紫、逢いに来たよ。
君の夢の中に…」




流星は両腕を広げ「おいで」と誘う。

その腕の中に飛び込むと、強く抱きしめ、私の髪に顔を埋めた。