長くなってしまった髪にブラシを通していると、窓の外に人影が見えた。


……迎えに来ると言っていたけれど、きっと呼び鈴は鳴らさないだろうな。


あいつの人柄を想い、仕度を少し急ぐ。


待ち合わせはあたしの家、20分後。




「……早いよ、紺」



がちゃりとドアを開けると、驚いた顔の紺。


その額には、7月なのだから当然だ、汗をかいている。




「びっくりした……もしかして、気づかれちゃった?
 ずいぶん早くに着いちゃったからさ、ここで待ってようかと」


「気づくよ……バカ。
 それに早く着いたんなら、家の中で待ってもらえばいい話だし」


「え、入っていいの?」


「今日はだーめ。買い物の予定でしょ?
 もうあたしも仕度は出来てんだから」