「 どう?俺、早かった?? 」


「 早かったよ。
でも、看護師さんに怒られてたじゃん…。下の売店で買ったんでしょ? 」



仁は口を開けて、大きく笑う。


「 ほんと、夢には隠し事できねぇな」





彼のその笑顔を見て、思わず私も笑顔になる。



一枚の折り紙を4等分して作るのため、彼は折り紙を切り始めた。


「 できるだけ早く終わらせらよ。
明日の今の時間───、夜5時半までに鶴1000個。どう、できると思う?」








「 ……。」





彼は無言だった。

鶴を24時間で1000個。
2人で折るなら、1人500個。

寝たり、ご飯食べたりしなきゃならないし、明日から、抗がん剤治療を再び開始する。

でも、私は折紙に慣れてないし、副作用の効果もある。


普通に考えれば”不可能”だ。



「 やってみよう。俺らならできるかも知れないだろ。」



そう言って、彼は鶴を折り始めた。


「そうだね。 」


私も鶴を折り始めた。