(――でもそれもそろそろ終わり、なのかしら、ね)


自嘲するように口角を上げて、彼女は内心で呟いた。

確かにそんなに頻繁に連絡をくれる人でもなかったが、ここまで放置されるのも関係を持つようになってから初めてだ。
それはやはり、五十鈴からしてみれば、終わりを示しているようにしか思えなかった。

緩慢に、気だるげな動きで彼女は立ち上がった。胃が空腹を訴えるが、今は料理をするような気分でもない。何か冷蔵庫に残ってはいなかっただろうか。


冷蔵庫を開け、中に入っている食材の少なさに五十鈴は自分で一瞬呆然とした。最近コンビニ食ばかりが続いていたせいか、中にあったのは牛乳がほんの少しと溶けるチーズ、それに林檎くらいなものだったからだ。


仕方なしに五十鈴は林檎へと手を伸ばす。確か田舎から送られてきたものの、最後の一個だっただろうか。

それはいい具合に真っ赤に熟していて、彼女の食欲をそそった。皮を剥くことすら億劫に思えて、林檎を洗うと、部屋に戻り、そのままそれに齧りつく。