ほんとバカで可愛い先生。そんなことしたら、俺のこと意識してるのバレバレなのに。
だけど俺は忘れてた。
先生は期間限定の"先生"であることを──。
「この一ヶ月間、皆と過ごせて本当に楽しかった!」
先生の最後の授業は、そんな一言から始まった。
そこでようやく思い出した。先生が"教育実習生"であることに。
「皆は先生の大切な初めての生徒です!またどこかで会ったら、気軽に声をかけてください!」
やだ。そんなの嫌だ。
また、とか。どこかで、とか。
そんな確証のない未来を待てるほど、俺は大人じゃないから。
「──先生っ!」


