「はいはい、ごめんね遥ちゃん」

「もう!謝る気ないでしょ!」

「まあ細かいことは気にしないで頂戴よ」

「もー……」



先生と話してると、心が安らいだ。



癒された。

安心感があった。

ずっと傍にいたい。傍に居てほしい。──そう願ってた。



でもそこはやっぱり、教師と生徒。



先生はいつも俺が確信に触れようとすると、するりと猫のようにうまくはぐらかして、交わしてしまう。



あくまで皆平等なんだ、というように。



実際先生と仲良かったのは俺だけじゃない。──俺だけが特別なわけじゃないことくらい、わかってた。



放課後は、いつも先生が一人でいる数学準備室に向かった。



「せーんせ。……何か手伝おうか?」

「あれ、また来たの?」

「先生に会いたくて」