「姫、綺麗だよ」
「お世辞なんかいいわよ」
困ったように笑いながらそう言う姫。お世辞なんかじゃないのに。
「お世辞なんかじゃねーよ。ほんとに綺麗で……困る」
そう言うと、姫が不思議そうに首を傾げた。
「困る?」
「……そう、困るんだよね」
あんまり綺麗だと、目を逸らせないから。
心ごと全部、君に支配されてしまうから。
きっと、出会った時から囚われていたのだろう。そしてそれは、じわりじわりと俺を浸食して。──そしてもう、逃げられない。
「姫のこと、どんどん好きになっちゃうんだよね」
ほんとに、どうしようもないくらい。
自制なんて、効かなくて。


