──先生、ごめんね。
俺はもう、この気持ちを誤魔化すことなんか、出来なくなっちゃったから。
先生よりももっと、愛したいと思う女の子に出会ってしまったんだ。
類は、俺の返答に困ったように笑うと、「また、手強い敵だね」と呟いた。
「……譲らねぇよ?姫のことは」
譲れない。絶対に。
劇が終わってから、俺は真っ直ぐ姫の所に向かった。まだドレス姿の姫は、やっぱり見惚れるほどに綺麗だ。
「……姫……」
「……仁斗」
姫が少し、驚いたような顔をしてから、嬉しそうに微笑んだ。
その微笑み一つで、こんなにも心が満たされるなんて、思ってもいなかったけど。


