姫が大事な仲間だったから、俺は姫を助
けたんだから。



仲間だったから、枚田にムカついて…。



──本当に?



心の中で、もう一人の自分がそう問いか
けてくる。



本当に、"仲間"だったから助けたの?

"仲間"だったから、枚田にムカついたの




……本当は、もっと別の感情じゃないの
かよ?



枚田にムカついたのも、姫に触れてほし
くないと思ったのも、本当にそんな感情
だったのか?



もっと、胸を焦がすような、熱い感情だ
ったんじゃないの。



本当は、枚田だけじゃなくて、他の誰に
も──雅にさえ、触らせたくないと思っ
てるんじゃないの?



違う。そんなはずない、と自分の気持ち
を否定してみても、もう一人の自分の、
悪魔のような囁きは止まらない。



"仲間"じゃない。"男"として、枚田を殴
ったんだろう?